電磁界の測定・逆推定

 

1.単板磁気試験器の開発と磁気測定

 磁気ヒステリシス現象の測定システムの外観 フェライトの磁気履歴特性

 私たちの研究では,単板磁気試験器の開発及び磁気測定です.現代社会において,高効率電気機器の設計を行う上で,磁性材料は必要不可欠な存在です.磁性材料は,磁気履歴特性,磁気飽和特性を有しており,電気機器に適用する場合,これら上記の点を考慮する必要があります.材料ごとに特性を表したものを磁気ヒステリシスループと呼びます.この現象を観測することにより,測定した磁性材料の特徴や,得意不得意などがわかります.磁気ヒステリシスループを熟知することで,電気機器設計時にエネルギーロスの改善,高効率化,磁性材料の適正判断などに通じます.現在は単板磁気試験器の前準備として,リング状試験器の開発を行っています.

 磁気ヒステリシスループを左図に示します.ヒステリシスループでは,保持力,残留磁化,飽和磁束密度の三点が特に重要です.まず,磁性材料のある空間に対し,磁界をゼロにした状態から少しずつ磁界が大きくなるように印加していくと,磁束密度が飽和します.このときの磁束密度を飽和磁束密度といい,そこまでの曲線を初期磁化曲線と呼びます.続いて,飽和磁束密度に達したのち,磁界の大きさを小さくしていくと,元の曲線をたどらずに曲線が下降していきます.これを下降曲線といいます.磁界がゼロのときの磁束密度の値を残留磁化といい,磁束密度がゼロのときの磁束の絶対値を保持力といいます.これらのパラメータの積はBH積と呼ばれ,磁石の性能を示す指標となっています.最後に,最小磁束密度に達したのち,磁界を大きくしていくと再び飽和に達します.このときの曲線を上昇曲線とよびます.保持力が大きく,ヒステリシスループの形が横に長い磁性材料は永久磁石(硬磁性材料)に使われます.他方,残留磁化が大きく,ヒステリシスループの形が縦に長い磁性材料は高透磁率磁性材料(軟磁性材料)としてモータや変圧器に使用されます.私たちの研究目的は,後者の軟磁性材料で,高効率の電気機器の基礎的な部分を,磁性材料の測定によって支えています.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.永久磁石内磁化ベクトルの逆推定

ラジアル配向に着磁したD-モデルにおける永久磁石の磁化分布と磁束密度の解析結果

 我々の研究では,主に電気自動車に使用されているモータの永久磁石に焦点を当てております.永久磁石作成時に,磁化方向を決めるため,着磁を行う必要があります.着磁を行う際に、磁石素材の配向に部分的な偏りがある場合,磁化配向にばらつきが発生してしまいます.磁化分布のばらつきにより,モータの騒音やパワーステアリングの操舵性低下が発生する可能性があります.そこで,あらかじめ磁化分布を把握し,モータ解析を行うことにより,モータへの悪影響を取り除くことができます.そのため,永久磁石内磁化ベクトル分布の逆推定する方法を研究しております.